
DTMでシンセサイザーを使い始めた方が最初に出会うのが「オシレーター(OSC)」という言葉です。
シンセサイザーの画面やパネルに「OSC1」「OSC2」といった表示を見かけて、「これは一体何をするものなのだろう」と疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、シンセサイザーのオシレーターとは何か、どんな役割を果たしているのかを、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説いたします。
オシレーターの仕組みを理解することで、自分の思い通りの音色を作り出すための第一歩を踏み出すことができます。
オシレーターとは音の源を作り出す装置です
シンセサイザーにおけるオシレーターとは、音の元となる波形を発生させる装置のことです。
日本語では「発振器」と呼ばれることもあり、英語の「Oscillator」を略して「OSC」と表記されることが一般的とされています。
オシレーターは、シンセサイザーの音作りにおける出発点であり、ここで生成された波形がその後のフィルターやアンプ、エンベロープといった要素で加工されて、最終的な音色が作られます。
言い換えれば、オシレーターがなければシンセサイザーは音を出すことができません。
それほど重要な役割を担っている部分と言えるでしょう。
オシレーターが音を作る仕組みについて
オシレーターがどのように音を作り出しているのか、その仕組みを理解することで、より効果的な音作りができるようになります。
電子回路による波形の生成
オシレーターは、電子回路を使って周期的に振動する波形を生成します。
具体的には、電圧が2つの状態の間を高速で行き来することで、ループする波形(周期的な信号)を作り出しているとされています。
アコースティック楽器では弦や空気が物理的に振動して音を生み出しますが、シンセサイザーでは電子回路が振動することで「音のもと」を作っているというわけです。
周波数と音の高さの関係
オシレーターが生成する波形の発振周波数(振動する速さ)が、音の高さ(ピッチ)を決定します。
周波数が高ければ高い音になり、低ければ低い音になります。
例えば、中央のド(C4)は約262Hzの周波数を持っており、オシレーターはこの周波数で振動することでその音の高さを再現します。
波形の形と音色の関係
オシレーターが作り出す波形の形状が音色のキャラクターを決定します。
同じ音の高さでも、波形の形が違えば聞こえる音色は大きく変わります。
これが、シンセサイザーで多彩な音色を作り出せる理由の一つとされています。
オシレーターが作る基本波形の種類と特徴
シンセサイザーのオシレーターでは、いくつかの基本的な波形を選択することができます。
それぞれの波形には独特の音色の特徴がありますので、一つずつ見ていきましょう。
サイン波(Sine Wave)
サイン波は、最もシンプルで純粋な波形です。
ほとんど倍音を含まないため、「純粋なトーン」のような滑らかで柔らかい音になるとされています。
耳で聞くと、フルートのような優しい音色や、リコーダーのような素朴な音色に似た印象を受けるでしょう。
ベース音やパッドの基礎として使用されることもあります。
三角波(Triangle Wave)
三角波は、サイン波よりも少し倍音を含んだ波形です。
柔らかく丸みのある音でありながら、サイン波よりも少し芯のある音色が特徴とされています。
木管楽器に似た温かみのある音色を作る際に適しています。
ノコギリ波(Sawtooth Wave)
ノコギリ波は、高域まで豊富な倍音を含む波形です。
そのため、太くて派手で、いかにもシンセサイザーらしい音色になります。
リードシンセ(メロディを奏でるシンセ)、ストリングス系のパッド、ブラス系のサウンドなど、幅広い用途で使用されることが多いとされています。
力強く存在感のある音を作りたいときに最適な波形です。
矩形波・パルス波(Square/Pulse Wave)
矩形波は、奇数倍音を多く含む特徴的な波形です。
やや鼻にかかったような独特の音色が特徴で、クラリネットやオーボエのような木管楽器に似た音色を作ることができます。
また、パルス幅(PW)を変えることで音色のキャラクターを大きく変化させることができる点も特徴的です。
レトロゲームのサウンドにもよく使用される波形とされています。
その他の波形
最近のソフトシンセでは、上記の基本波形に加えて、サンプル波形やウェーブテーブル、FM(周波数変調)方式のオシレーターなど、より複雑な波形を生成できる機能が搭載されていることが多いとされています。
これにより、さらに多彩な音色を作り出すことが可能になっています。
オシレーターで調整できる主なパラメータ
オシレーターには、音色を調整するためのさまざまなパラメータが用意されています。
初心者の方が最初に覚えておくべき基本的なパラメータをご紹介します。
Waveform(波形選択)
どの基本波形を使用するかを選択するパラメータです。
サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波などから、作りたい音色のイメージに合った波形を選びます。
Pitch / Tune(ピッチ・音程)
オシレーターの発振周波数を調整して、音の高さを変えるパラメータです。
鍵盤を弾いたときの音の高さを、セント単位(半音の100分の1)で微調整できることが多いとされています。
Octave(オクターブ)
音の高さを、オクターブ単位でざっくりと変更するパラメータです。
ベース音を作りたいときは1〜2オクターブ下げる、高音のリードを作りたいときは1〜2オクターブ上げる、といった使い方をします。
Detune(デチューン)
複数のオシレーターを使用する際に、わずかにピッチをずらして重ねることで、コーラス効果や音の厚みを出すパラメータです。
微妙なずれが生み出すうねりが、音に深みと広がりを与えます。
Mix / Level(ミックス・レベル)
複数のオシレーター(OSC1、OSC2など)を使用する場合に、それぞれの音量バランスを調整するパラメータです。
どの波形をどれくらい前面に出すかをコントロールすることで、音色の印象を大きく変えることができます。
オシレーターを使った音作りの具体例
実際にオシレーターを使ってどのような音作りができるのか、具体的な例を見ていきましょう。
例1:太いシンセベースの作り方
ベース音を作る場合、まずオシレーターでノコギリ波を選択します。
次にオクターブを1〜2オクターブ下げることで、低音域の音を生成します。
さらに、2つ目のオシレーターでも同じくノコギリ波を選び、わずかにデチューンさせて重ねることで、うねりのある太いベース音を作ることができるとされています。
フィルターで高域をカットすれば、より落ち着いた低音になります。
例2:きらびやかなシンセリードの作り方
リード音を作る場合は、ノコギリ波を基本とすることが多いとされています。
オクターブは標準か、やや高めに設定します。
2つのオシレーターを使用し、片方を5度や7度など音楽的な音程でずらして重ねることで、和音的な厚みのあるリード音を作ることができます。
フィルターのカットオフ周波数を調整することで、明るさをコントロールできます。
例3:柔らかいパッドサウンドの作り方
パッド系の音を作る場合は、三角波やサイン波を使用すると柔らかい音色になります。
複数のオシレーターを微妙にデチューンさせて重ねることで、広がりのある音場を作ることができるとされています。
エンベロープのアタックタイムを長めに設定すれば、ゆっくりと立ち上がる柔らかいパッドサウンドが完成します。
例4:レトロゲーム風のサウンドの作り方
レトロゲームのような8bitサウンドを作りたい場合は、矩形波が最適です。
パルス幅を50%に設定した矩形波は、ファミコンやゲームボーイのサウンドに近い音色を再現できます。
エンベロープで音の立ち上がりと減衰を調整することで、ピコピコとした特徴的なサウンドを作ることができるとされています。
VCOとLFOの違いについて
オシレーターに関連する用語として、VCOとLFOという言葉を耳にすることがあるかもしれません。
VCO(Voltage Controlled Oscillator)
VCOは、電圧によって発振周波数を制御するオシレーターのことです。
主にアナログシンセサイザーで使用される用語とされており、実際に音として聞こえる波形を生成する役割を果たします。
つまり、私たちが通常「オシレーター」と呼んでいるものは、このVCOを指していることが多いと言えます。
LFO(Low Frequency Oscillator)
LFOは、低周波のオシレーターで、人間の耳には聞こえない低い周波数の波形を生成します。
LFOは音そのものを作るのではなく、他のパラメータを周期的に変化させるために使用されます。
例えば、ピッチをゆっくり上下させてビブラート効果を作ったり、音量を周期的に変化させてトレモロ効果を作ったりすることができるとされています。
VCOとLFOは同じ「オシレーター」という名前が付いていますが、役割は全く異なることを覚えておくと良いでしょう。
まとめ:オシレーターはシンセサイザー音作りの第一歩です
シンセサイザーのオシレーターとは、音の元となる波形を発生させる装置であり、音作りにおける最も基本的で重要な要素です。
オシレーターで選択する波形の種類(サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波など)によって、音色の基本的なキャラクターが決まります。
ピッチ、オクターブ、デチューン、ミックスレベルといったパラメータを調整することで、さまざまな音色を作り出すことができるとされています。
オシレーターで生成された波形は、その後フィルターやエンベロープ、エフェクトなどで加工されて、最終的な音色が完成します。
つまり、オシレーターはシンセサイザーの音作りにおける出発点なのです。
まずはオシレーターの仕組みと基本波形の特徴を理解することが、自分の思い通りの音を作るための第一歩と言えるでしょう。
これからの音作りへのヒント
オシレーターの基本を理解したら、実際に手を動かして音を作ってみることをお勧めします。
お持ちのDAWに付属しているシンセサイザーやフリーのソフトシンセを開いて、まずは波形を切り替えながら音の違いを聴き比べてみてください。
次に、オクターブを変えたり、複数のオシレーターを重ねたりして、音がどのように変化するかを体感することが大切です。
最初は思い通りの音が作れなくても、試行錯誤を重ねることで、徐々にオシレーターの特性が感覚的にわかってくるはずです。
音作りに正解はありません。
あなた自身の耳で聴いて、「良い」と思える音を追求していく過程そのものが、DTMの楽しさの一つと言えるでしょう。
オシレーターという音の源をコントロールできるようになれば、シンセサイザーでの音作りの可能性は無限に広がります。
ぜひ、この記事で学んだ知識を活かして、あなただけのオリジナルサウンドを作り出してみてください。